制作後記(2009/11/6)※毎週金曜日更新

佐山典正
 自宅の押し入れを掃除していたら、収録済みのHi8テープを発見。さらにDigital8で収録したものらしきテープも。再生デッキ(カメラ)も家のどこかにあったハズ。何が映っているやら...。

杉山 聡

 佐藤謙吾氏の写真展「サイレント・フィクション」。
全43点とも東京の風景写真だが、ありきたりでないのは、東京が、水面に浮かびあがった「水上都市」のように見えることだ。ここはヴェネッツィアではない。見慣れた東京のはずだ。

透き通った青空、見慣れた看板、ここまではいつも見ている東京だ。

しかし人の気配が感じられない街、水面に浮かぶ建物などを見ていると、ここはすでに、よく知っているトウキョウではない。そう感じた時、漠然とした不安に襲われる。
「今まで、私の眼は、本当に東京を見てきたのだろうか???」

かつて森山大道氏らを中心に、「我々は見ているようで実は何も見ていないのでは?」「写真は事実を写せないのでは?」という、「真実を写すのが写真」と思われていたメインストリームへの問題提起がなされた。
彼らの写真は、時代を超えて訴える。
「まず『確からしさ』という概念は捨ててください」と。

誤解を恐れずに言ってしまえば、作者は、彼らのメッセージを引き継ぎ、21世紀風にアレンジして伝えようとしているのだと感じた。
写真が熱い時代があった。
佐藤氏の写真は、見かけ上はクールだ。しかし、そのバックボーンに継承者として自負を感じた。

佐藤謙吾写真展「サイレント・フィクション」 (全43作 iPhoneアプリ無料配信中)
11月10日(火)~11月23日(祝・月) 新宿ニコンサロン
詳細は http://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/20091022_323619.html

(C)佐藤謙吾