制作後記(2009/3/13)※毎週金曜日更新

佐山典正
 空気が乾燥する冬の時期、自宅の2階から北北東の方角を眺めると茨城の筑波山(876m)がわずかに見えていたのですが、急に見えなくなりました。自宅と筑波山を結ぶライン上(直線約65キロ)にジャマ~が! 数キロ先にマンション群らしき建物が建ち始めたようです。あ~あ、残念! 数年前まで毎週末パラグライダーをやりに通っていた山で、最近は行けずに眺めるだけでしたが、これでさらに遠くなったような...。

杉山 聡
 ノルマンディー地方、潮の干満差が激しい湾に浮かぶ小島に築かれた修道院を撮ったマイケル・ケンナの最新写真展「モン・サン=ミシェル」。暗雲たちこめる下、あたかも廃城のように見える「モン・サン=ミシェル」や、白い霧のベールに覆われた湾に、幻の楼閣のように儚げに浮かびあがる「モン・サン=ミシェル」を幻想的にとらえた傑作だ。昔は、命がけで行った巡礼地。今は、世界遺産として観光客が群がる「モン・サン=ミシェル」だが、長時間露光で人がそこにいた痕跡を全て消してしまう彼独特の作風もあって、修道院の神秘性は一段と増して、それ自体が生命体であるかのように息づいて見える。